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EUの労働者の闘いから見えてくる日本の労働事情

≪第4回 ドイツの労働者―過密労働に追われずにゆったリと生活≫
ダイムラークライスラーの事業所評議会代表と懇談。企業の社会的責任、従業員代表の機能など多岐にわたり議論しました。

有休30日はあたりまえ
要員の問題、「欠勤率」について質問しました。
日本人「日本では、生産計画を立てるときの要員は、有給休暇の取得や病気の欠勤を含めて、欠勤率を3%しか見込んでいない。そのため、職場は慢性的な要員不足で、労働者は長時間・過密労働に追われて、有休の取得率も5割足らず、病欠も有休でまかなわなければならない状況が生まれている。」
ドイツ人「欠勤率は季節で異なるが、生産ラインでは5−7%だ」
日本人「ドイツの欠勤率には病欠以外は含まれていなように思うが…。出勤率はどうか。」
ドイツ人 (質問を繰り返したが、何を確認しようとしているのか理解できずに、)
「有休30日取得は当たり前だから欠勤率に有休取得を含めて考えたことがない。」

ドイツの欠勤率は日本流計算では17-19%、日本の6倍!?
欠勤率一つとっても、日本とヨーロッパでは概念が違うことがよくわかります。それではこのドイツの欠勤率を日本流の欠勤率に計算しなおしたらどうなるのでしょう。
ドイツの年間労働日数は253日で、有休休暇は30日ですから、日本流の有給休暇による欠勤率は有休取得日数を年間労働日数で除して、11.9%になります。これに病欠分の欠勤率を加えれば、日本式にはじきだしたドイツの欠勤率は、17-19%になり、実に、日本の6倍の欠勤率です。

金曜日が半ドンのときも
ダイムラークライスラーの従業員代表との懇談は、金曜日の午前中に行われました。ドイツは労働協約で週35時間労働ですが、この日のように、例外的に金曜日は午前中働いて、おしまいという勤務もあります。
日本人「金曜の午後はゆっくりと過ごし、土日が休みだと、どんな週末を過ごすのか」
ドイツ人「ドイツでは、学校は午前中で終わり。金曜日は平日より子どもとゆっくり過ごすようにする。土曜は商店がタ方に閉まるので買い物と掃除。日曜はゆっくりすると、もう月曜日だよ。」

パートや派遣などは全労働者の4%以内に、派遣の方が割高に
日本の大企業は、パートや派遣など不安定雇用労働者を大量に雇っています。ダイムラークライスラーでは、どうなっているか質問しましたら次の回答が返ってきました。
ドイツ人「労働協約で、派遣労働者など不安定雇用労働者は全労働者の4%以内に収めると経営者と確認している。本来はゼロが理想だが、産休や子育て休暇、長期の病気もあるからね。」

賃金は正社員と同じで、同一労働同一賃金ということですねと確認すると、
ドイツ人「そのとおりだ。私たちは、派遣労働者が正規労働者と同じ時間当たり賃金を手にすることができるようにしている。つまり、派遣会社の維持・運営費も含めて、正規労働者に支払う賃金以上を会社に支払わせることで、正社員を雇うより派遣労働者を雇った方が割高につくと、経営者に私たちが教えているんだ。」
不安定雇用労働者の雇用は、基本的には例外。不安定雇用の働く権利もきちんと保障させ、それが正規の権利を守ることにもつながるという確信に満ちた発言でした。

(この記事は「しんぶん赤旗」2005年3月27日‐4月6日に連載された「見た感じたEU労働事情」の記事をもとに編集しなおしたものです。)

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